「光野さんは兄さんが好きなの?」

「……うん」



テンション高めの彼女に尋ねると、一気におとなしくなった。


夜だっていうのに、頬が赤いのがわかる。

その様子だと完全に兄さんにゾッコンだな。



「正直、一目惚れだった。でも、接していくうちに、とても誠実で気遣いができて、周りのことをよく見ていて……」



わかってるよ。

外見だけに惚れたわけじゃないって、ちゃんとわかってるよ。

買い物の時、「どっちでもいいよ」なんて言わず、堂々と意見言ったり提案してたの見てたから。


だからかな、兄さんもすごく楽しそうに選んでた。

子どもみたいにはしゃいでる姿を見たの……家族全員揃った時以来だったから。

光野さんのこと、きっと気に入っていると思う。



「……兄さんのこと、幸せにしてあげてね。今、彼女いないから」

「えっ……それって……」



目を丸くしている彼女に微笑みかける。
すると、ドアのほうから足音が聞こえてきた。



「年の差はあるけど、脈はあると思うから。頑張ってね」

「……ありがとう」



こそっと耳打ちすると、少し照れくさそうに笑って、合流した兄の元に駆け寄っていった。