「えー! 1人の人と長く付き合ってそうなイメージがありました!」

「アハハ。毎回長く付き合いたいなとは思ってるんだけどね」



切ない顔でお酒を飲み干した兄。
ふぅと溜め息をついてゆっくり語り出した。



「毎回、『真面目すぎてつまんない』ってフラれるんだ。友達からも『もう少しハメ外したら?』って言われるんだよね」

「ええっ! 全然つまんなくないですよ! 一緒にいると楽しいです! 俺が女子だったら、雄基さんと付き合いたいくらいですよ! その彼女さん達は、雄基さんの良さがわからなかったんだと思います!」

「フフッ、ありがとう」



酔っぱらって顔を赤らめる兄を見つめる。


兄さんは中学時代から今まで、たくさんの女性と付き合ってきた。
だが、毎回3ヶ月も経たずに相手から別れを切り出されている。


健の言う通り、あいつらは兄さんのことをこれっぽっちもわかっていなかった。

と、いうか理解しようとしていなかった。



「……そうだよ」

「詩恩……?」

「あいつらは兄さんが毎日忙しくて時間が取れないって知ってるくせに、『全然デートしてくれない』だの『一緒にいても何もしてこない』だの、愚痴ばかり言ってた」