ライオン少女は宇宙系男子を落としたい

冬川家に到着し、各自荷物を運んだ後、雄基さんと千夏と詩恩は買い出しに向かった。

私と星くんは、バーベキューの準備をすることに。



「お~い、北松ちゃん?」

「あっ……ごめん! ボーッとしてた!」

「考え事?」



グリルの網を拭いている星くんに、テーブルに食器を並べながら答える。



「その……さっき『お母さんみたい』って言われた時、詩恩はどう思ったかなって……」



親の話になると、詩恩は毎回暗い顔をしていた。

だからさっき、お母さんって言葉が出てきた瞬間、咄嗟にツッコんで場を和ませた。

みんな笑ってたけど、詩恩も笑ってたかどうかは……。



「北松ちゃんは優しいね」



網を拭き終えた彼が椅子に腰かけてニコッと微笑んだ。



「思い詰めなくて大丈夫だよ。本当はめちゃめちゃ喜んでると思うから!」

「本当に……? 詩恩笑ってた?」

「……ちょっとだけ」



多分それ、苦笑いだろうな。

顔に出さないだけで、心の中では、「明莉がお母さん⁉ 冗談じゃねーよ!」ってキレてるかも。



「そんなに暗い顔しないでよ! せっかくのお泊まりなんだから楽しくいこ?」

「う、うんっ」



そうだよね。暗い顔してたら雰囲気壊しちゃうよね。
今は楽しむことに集中しよう。