「あのさ、この前風邪引いた時、『親から連絡が来たからビックリした』って話したよな?」

「うん……それがどうしたの?」



すると、詩恩は少し暗い表情で……。



「……あの後、母さんから兄さんに連絡がいって……兄さん、めっちゃ怒られたらしいんだよ」

「えっ!」



話を聞くと、『なんで看病しに行かなかったんだ!』とご両親に怒られたんだそう。



「……だから、俺のことはもう親に話さないでほしい」

「なんかごめん! っていうか、風邪引いてたこと家族に黙ってたの?」

「うん。毎回言ったって、どうせすぐ帰ってこれないし。伝えたところで心配かけるだけだから」

「じゃあ……体調崩した時はいつも1人なの?」

「うん」



えええええ! それはキツくない⁉
誰にも頼らずに1人で過ごしてるの⁉



「せめてお兄さんに頼ったら⁉ 医者の卵なんでしょ⁉」

「学校とバイトで忙しいから、診てもらう時間なんてないよ」

「悪化して命の危機に晒されたらどうするの!」

「本当にヤバそうな時は病院に行ってるから大丈夫」



こいつ……!
この前私達がいなかったら行き倒れてたかもしれないのに……!