「明莉に、とうとう彼氏が……」

「いやだから、違うって!」



あー……やってしまった。

お酒に酔って涙もろくなった父を必死になだめる。



「明莉、せめてそこは嘘でも女の子って言ってあげたら良かったのに……」

「無理だよ! 私が嘘下手なの知ってるでしょ⁉」



全く手伝おうとしない母に言い放ち、父にティッシュを渡す。


もー! どうしてうちのパパは酔うと毎回泣いちゃうの⁉

もしかしてストレス溜まってるのかなぁ。



「私のせいで風邪引いちゃったからお見舞いに行ったの! この前、雨でずぶ濡れになった時に自分が着ていた服を貸してくれたから、それで服を返しに行っただけ!」



嘘をついて余計悲しまれて泣かれるよりかはマシだと思ったので、開き直って正直に話した。



「じゃあ、昨日シャツにアイロンかけてたのって……」

「うん。貸してくれた服だよ」

「ごめん。そんな優しい彼に、俺は何てことを……」



テーブルに肘をついて頭を抱え始めた父。


毎回泣くけど、ここまで泣き叫んだのは初めてだ。

何か仕事で嫌なことでもあったのかな。