あまりのナルシスト発言に驚きながらも、「……みんなは意識しても私はしないから」と冷たく言い放って作業を続けようとしたのに、そうさせてもらえなかった。

「へえ」


「なら意識させてやろうか?」と意地悪そうに口角を上げた彼が私に顔を近づけた。

机越しに顔を近づけれても、すこし顔を動かしたらキスできそうな距離だ。


香水の香りが鼻を掠めたあと、私のほうに伸びてきた手に腕を掴まれて、その一連の流れに驚いた私は持っていた資料を床に落とす。

パラッと音を立てて床に散らばった7枚の資料が私たちの足元に落ちている。



視線を逸らして拾おうとしたとき、「これだけで意識しちゃってるなんて、可愛いね。絢瀬」と私を見てわらった。

ムカつくほど綺麗な顔でわらった。





「ほんと、そういうのやめて。ほかの女子いるでしょ」
「いま他の女子は関係ないよ?俺は絢瀬と話してるんだよ」