無視をしているのに、同じようなことを2回も聞いてくるなんて、さすが神経が図太いなと思いながらシカトを繰り返す。

作業とはいえ、教室にふたりでいるところを見られるだけでも嫌なのに、話してるなんて思われたらたまったもんじゃない。


紙をまとめるトントンという音とパッチンと、ホチキスの音だけが響く中、やけに視線を感じていた。

思わず、顔を上げると切れ長の瞳とぱっちり目が合って、「……あ」と声を洩らして逸らすと、その唇が緩く弧を描いた。





「無視してるようで意識してるんだね」
「なっ、してないから。勘違いしないで」


動揺するな自分、と言い聞かせてるものの、綺麗な顔面が瞳に映ったせいで不覚にもドキッとしてしまった。

モテる理由がわからないわけでもないほど、近くで見ると顔が整っていた。



「俺のこと意識しない女なんていないし」