クズ男の独占欲に溺れて。

「首筋弱いね」

吸われるとチクッと痛みが走って、噛まれると、甘く痺れていく。全部、全部熱くなって、掴み合うカッターシャツにはシワができて、卑猥な声が響いて、ドクドクと心臓が早鐘を打つ。

吸いつかれて、噛みつかれて、できた赤いシルシを見て、いやらしくわらったこいつに胸が鳴る。




「どー、逃げれそ?」

逃げられないのをわかっていて聞いてくるこいつを、至近距離で目を合わせて聞いてくるこいつに私は呑まれている。


「もう、やめて」


やっと声を発しても、「嫌じゃないくせに」と返されて、何も言えなくなってしまった。



「動くな」

余裕そうな顔が歪む度に、掴む手に力が加わる度に加速し続ける心臓は今にも壊れてしまいそうだった。

壊されて、乱されて、焦らされるときもあって、なけなしの理性は呆気なく消え、本能的に攻め立てる彼に、本能的に従う他なかった。




熱い吐息、乱れた制服、散らばる資料、動いてしまった机を気にすることはない。




「喉にキスは支配欲、首筋は独占欲」
「ん……っ」

「黙って、俺に溺れろ」




予測不可能だったけれど、彼と話した時点で不可抗力だった。

こいつは大嫌いで、絶対に近づきたくない相手だったのに、たった一瞬で変わってしまった。



目の前のクズが不敵にわらって、一瞬で落とされて、侵されて、こいつの沼に溺れた。





「ふっ、かわいーね」

クズ男の独占欲に溺れて。






END