本能的に唇を重ねてくるこいつよりも、本能的に応えている私のほうがおかしいだろう。
なけなしの理性がそう言っていて、私だってわかっていたのに、とっくに侵食されていた。
「これほかの女子が見たら」
「俺が怒られるってか、絢瀬がやばいかも」
「なっ……」
「でもさ、付き合ってるわけじゃないんだから何しても勝手だよね。そもそも付き合ってる人がいないから遊んでたんだし」
発言はどこまでも自分勝手で、自己中で、有り得ないはずだったのに、納得してしまっている自分もいた。
「それともさ」と言って何度見たかわからない怪しげな笑顔を向けて、「絢瀬はやめたい?」と問いかけてくる。
答えはわかっているのに、私が口にしないということもわかっているのに、わざと聞いてくるこいつはどこまでも性格が悪いし、最低だ。
私の頬に添えていた手を離そうとしたとき、私は「……やめないで……」と蚊の鳴くような声で、無意識のうちに言ってしまっていた。
なけなしの理性がそう言っていて、私だってわかっていたのに、とっくに侵食されていた。
「これほかの女子が見たら」
「俺が怒られるってか、絢瀬がやばいかも」
「なっ……」
「でもさ、付き合ってるわけじゃないんだから何しても勝手だよね。そもそも付き合ってる人がいないから遊んでたんだし」
発言はどこまでも自分勝手で、自己中で、有り得ないはずだったのに、納得してしまっている自分もいた。
「それともさ」と言って何度見たかわからない怪しげな笑顔を向けて、「絢瀬はやめたい?」と問いかけてくる。
答えはわかっているのに、私が口にしないということもわかっているのに、わざと聞いてくるこいつはどこまでも性格が悪いし、最低だ。
私の頬に添えていた手を離そうとしたとき、私は「……やめないで……」と蚊の鳴くような声で、無意識のうちに言ってしまっていた。



