「ありがとうございます」



彩菜先輩をはじめに、心配して駆けつけてくれた会長と理樹くんに感謝を伝える。

先輩たちがいなかったら、私は笑顔になれていなかった。

さすが、生徒会の先輩たちだ。

なんて感心さえしてしまう。


私の言葉に、会長が複雑な表情をする。

多分、会長は彩菜先輩を疑ってしまったこと……。

謝りたいんだろうな、って思う。

それに関しては、私の出る幕はない。


だって。

会長は自分の心に正直な人だと思うから。



「宮野。……疑って悪かった」



ほら。

会長は自分で考えて行動できる人。

だから、私は会長を好きになったんだ。


彩菜先輩は少しほっとした表情をしている。

やっぱり、好きな人に嫌われることほど怖いものはないから。



「北澤さんのこと、春馬くんに任せてもいいかしら」

「ああ」



彩菜先輩の言葉に一瞬驚いた表情の会長。

だけど、力強く頷いてくれた。



「理樹くん。授業に戻りましょう」



彩菜先輩は、ずっと握ってくれていた手をゆっくりと離す。


それは彩菜先輩の気遣いだった。

彩菜先輩は私に向かって微笑む。



「北澤さん。……ありがとう」



そう言って、理樹くんの背中を押して保健室を出て行く彩菜先輩。


会長と2人きりの保健室だ。