東京ルミナスピラー

「……この街は出来たばかりだ。だから何が起こってもおかしくはないし、色んな可能性だってある。懐かしいよな吹雪ちゃん。昔、あの塔をこうやって見上げながら、ただの希望に過ぎなかった夢物語にすがったもんだ」


姉さんを失った悲しみはある。


だけど、父さんはそれよりも大きな希望を持っているように見える。


「バベル」や「ヴァルハラ」の人達がバベルの塔を見上げる時、皆同じ目をする。


それはそこに、唯一の希望が残されているとわかっているからなのだろう。


「まさか、現実の世界でこんな馬鹿みたいなことが起こるなんて思ってなかったけどね。だけど、こればかりは私達が終わらせなきゃならないことなんだよね。若い世代には苦労かけるけどさ」


ニシシと笑って見せた吹雪さんが、ポンポンと俺の肩を叩く。


「そうだな。俺達年寄りが奮闘してもいいけどさ、やっぱり若者にも頑張ってほしいよな。葵も宗司くんも蘭子ちゃんも……親は有名な暴れん坊だったからねぇ」


タバコに火を点けて、微笑んで見せた父さん。


いや、俺の両親と蘭子の父親は知っているとして、宗司の親も父さんは知っているのか?


そんな素振りは普段、全然見せてなかったのに。