東京ルミナスピラー

~18年前~


秋葉原の中央通り、大型ディスカウントストアの前でスイーツを買って、笑顔で名鳥に手渡す女性。


恋人というには歳が離れすぎていたが、二人はすでに結婚していて、夫婦であった。


「明ちゃん、俺はこういう甘いのはちょっと苦手なんだけどな」


「あら、好き嫌いはダメよ? 生まれてくる赤ちゃんの前でそんなことが言える?」


自分のお腹を撫でて、にこやかに笑った明には勝てないのか、名鳥は苦笑いしてそれを受け取った。


「やれやれ、まいったねこりゃ」


この後の結婚生活を想像してしまったのだろうか。


完全に尻に敷かれる未来が、名鳥には容易に想像できたかもしれない。


腕を組んで歩き、赤信号が青になるのを横断歩道の前で待って。


そして青になり、人混みの中を二人で歩き始めた。


だが、名鳥はこの時、妙な違和感に包まれていた。


見慣れた風景の中に、異物が紛れ込んでいるかのような違和感。


もちろん、他の人にはそれが違和感とは感じないだろう。


名鳥だからこそ感じた違和感なのだ。


そしてそれは、明も感じていた。


人混みの中から現れた一人の男。


その男には見覚えがあったから。