千柳は、腕時計をタッチ。
画面に話しかけた。
「せつな、もうお家に帰っている?」
『はい。千柳様』
「悪いんだけど、この辺りで一番おいしくて、
テイクアウトできるコーヒーショップを
探してくれる?」
『かしこまりました』
千柳が腕時計を通して、
しゃべっている相手。
雪那(せつな)と言って、俺と同じ高2。
千柳お気に入りのメイド。
俺も子供の頃から
かなりお世話になっている。
でも。
俺への扱いは、かなり雑。
『千柳様、コーヒーショップの地図を、
ナビに送っておきました』
「せつなは、仕事が早いね。
もう一つ、頼めるかな?」
『はい。なんなりと』
「恋にダメダメ綺月が、狂犬に化けても
人様に迷惑が掛からない場所を、
探して欲しいんだけど」
なんだよ、それ。
俺、高2だぜ。
いきなり狂って叫ぶようなことはしねえし。
『綺月様が暴れ出しても
大丈夫な場所は……』
だから、暴れねぇから。
『一件だけありました。細い道を通りますので、
千柳様、運転お気を付けください』
「せつな、ありがとう」



