雑巾を濡らし、
 自分の机を拭こうとした瞬間。

 
 体の芯が、いきなり震えだした。


 目が飛び出そうなくらい、
 机の文字に食らいついて離れない。



 何……

 これ……



 一瞬で、脳がパニック状態。



 吸うのか、吐くのか、わからないほど、
 呼吸が早くなって。

 どんなに息を吸っても、
 肺が苦しい。



 教室に入ってきたクラスメイト達。

 その楽しそうな声が、
 私の心臓を、さらに押しつぶしていく。



 みんなに見られる前に、
 文字を消さなくちゃ!!


 そう思うのに。


 これでもかってくらい力を入れて、
 机をこすっているのに。


 この文字……

 全然……消えない……



 どうしよう。

 どうしよう。



 呼吸はさらに、荒くなる。

 過呼吸で倒れそう。


 でも、この文字だけは
 絶対に消さなくちゃ。