もう1人はどうしようかなーとのんびり考えていたある日。
授業が終わった瞬間にルフレオが一時停止した。
「どうしたの?」
「………。」
声をかけても返事をしてくれない。
代わりに手のひらをこちらに向けてきた。
少し待って、ということか。
ジェスチャー通りに大人しく待っていると、しばらくしてルフレオから声をかけてくれた。
「アーミューが何か開発したらしい。今から来れるなら来てほしいそうだが、どうする?」
それだけのことを伝えられていたのならもう少し早く返事をしてくれてもいいと思ったけれど、アーミューのことだから必要のないことまで話してきたのだろう。
「行く。」
「わかった。」
行き慣れた実験室に向かうと、ある物を机に並べてドヤ顔しているアーミューが出迎えてくれた。
「見て!あの不思議な板に描かれていた棒、作ったよ!」
ちゃんと動くんだーと言いながらその棒を動かしてくれるアーミュー。
ふわふわと浮かんだ棒たちは、勝手に一定のリズムで揺れ始める。
「…すごいが、才能の無駄遣いをしてないか?」
ルフレオから見てもしょうもない物に見えるらしい。
私が言いたいことは…。
「それ違う!そうじゃない!!」
アーミューが作ったものは、ペンライトだった。
しかし私が知っているペンライトとはかけ離れていた。
ペンライトは人が持ってフリフリするのが楽しいもの。
それなのにアーミューが作ったものは勝手にふわふわと浮いて揺れている。
「必要のない機能がついたペンライトはいりません!!」
「えー?おっかしいなぁ。上手くできたと思うんだけど。」
アーミューは靴を脱いで机に乗り、適当なボーズを取ってみせる。
それを囲むようにアーミュー作のペンライトがフリフリしている。
うん。ゲーム内の演出とかでは勝手に動いてるペンライトとか見るけれど。
見るけれどそれは現実に入らない演出です。
「ペンライトはこうやって使うの!」
スマホでお気に入りの曲を流してから、ふよふよしているペンライトを掴み、リズムに合わせて振る。
もちろん掛け声もつけて。
全力で全身で曲を楽しんだ。
人目など気にせず。
曲が終わって、荒れた呼吸を整える。
「異世界の人は、なんというか激しいんだな。」
「自分で振るのかー。そりゃ違うわー。」
ルフレオは引いて、アーミューは納得していた。
きっとこれは誰も悪くないと思う。



