私の心を読んだのか佐藤さんが声を甘くする。

「俺、清川さんがいると思うとこの店に早く行きたくて堪らなくなるんです。他の店には悪いんですけどやっぱりこの店が特別というか」

 彼は苦笑した。その顔がそれでもなお清涼感を残していて、ああ、イケメンはずるい。どこまでも素敵すぎる。

「営業マン失格ですよね。でも、俺には清川さんが何よりも最優先ですから」
「……」

 どうしよう。

 とりあえず新刊を百冊ずつ頼んでおこうかな?

 冗談ではなく本当にそうしてしまいたくなる自分がいて私はやっとの思いでその衝動を抑えた。うん、いくら何でも無茶な発注をしたら駄目だよね。

 けど、佐藤さんの役にも立ちたい。

 あ、私って男のために会社の金を横領しちゃうタイプなのかも。

 気をつけないと。