そんなことを気にしている自分が、少しおかしくて鏡の前で笑った。


普段は見た目なんてどうでもいいのになぁ。


これも里奈の効果だった。


そんな状態で3年生に上がったとき、里奈が大智と別れたらしいという噂を聞いた。


「まじで? じゃ、里奈っていまはフリー?」


噂を教えてくれた友人に、身を乗り出して質問する。


「そういうことになるな。これからは争奪戦が始まるぞ」


学校外に彼女がいるその友人は、高みの見物をするかのように楽しげな声を出した。


「そっか、フリーになったんだ……」


知らず、自分の顔がニヤけていく。


1年生のころからいいなと思っていて、自分の見た目も気に掛けるようになって。


そんな俺にもやっとチャンスが回ってきた気分だった。


誰もが狙っている里奈が相手だから断られて当然だと思うけれど、言うだけ言ってみるという手もある。


このまま卒業して里奈に会えなくなると、後悔する気がするし。


そんな思いで、俺は里奈を校舎裏に呼び出した。