大人3人が両手を伸ばして囲んでも、きっと一周しないだろう。


その木にはツルが絡まっていた。


手を伸ばして掴んでみると、自分の体を支えられるくらいしっかりしているのがわかる。


あたしはゆっくりとツルをなでた。


ツルリとしていて心地いい手触り。


あたしもかつてこんな肌をしていたような気がする。


もう忘れちゃったけど。


あたしはクワをその木に立てかけて、柄に足を乗せた。


グッと体重をかけるとクワは少し土の中に沈みこんだ。


目の位置にあるツルに手が届く。


クワの柄の上で背延びをすると、そのツルに首が届いた。


アハハ。


アハハ。


あたしはまた笑っていた。


なにがおかしいのか自分でもよくわからない。


でも、笑っていた。