「残酷様ができたのは今から200年前の事件が関係しているみたいだ」


「え?」


あたしは航大へ向けて聞き返す。


今は残酷様の帰し方が知りたいのだ。


「200年前、多くの人間が惨殺された事件が、○○県の小さな村で起こったらしい」


「ねぇ何を言ってるの? 今そんなこと関係ないよね?」


「読んでみないとわからないだろ? 残酷様が出現した由来がわかれば、なにか変わるかもしれない!」


それから航大は本に書かれていることを声に出して読み進めた。


「その村で起きた大量殺人事件の犯人は一旦逃走したけれど、結局自殺。なんと犯人が女性だったことから全国的にも有名な事件となり、その後『残酷様』という都市伝説ができた」


「その殺人犯の女が残酷様だってこと?」


「たぶん、そうなんだろうな」


航大が頷く。


でも、だからどうだというんだろう。


今そんなことを知ってもなんの意味もない。


あたしたちは自分の部屋から出ることもできないんだから。