「なぁ、西宮。今がチャンスだと思わねぇか?」
「……チャンス?」
足を止めた私に傘を傾けてくれた矢坂くんがヒソヒソ声で言ってきた。
「だから、羽川が浮気してたら俺が詰めるって話だ」
「あ、えと……その件なら、もう大丈夫だから……っ」
「遠慮すんな。玲来の親友だろ? それに俺さ、困ってる奴見るとほっとけねぇんだわ」
それはなんか意味が違うんだけど!?
上手くやるから、とゴリゴリに押してくる矢坂くんとやり取りを交わしていると、
「お前は俺の傘に入るんじゃなかったわけ?」
不機嫌な眼差しが向けられて、慌てて矢坂くんの隣を離れた。
「……う、うんっ!ごめんね!」
矢坂くんには丁重にお断りをして、律くんの傘の中におさまった。



