「ねぇ律くん……あそこにいるのって、もしや矢坂くんじゃない?」
大きなパーキングの看板の影に身を潜めている人物。
時折、手にした黒い傘を高くしてどこかを見上げている様子だった。
「あれ矢坂なの? 俺には不審者にしか見えないんだけど」
やっぱり?とは言わなかったけれど、制服を着ているとはいえ挙動不審かも……。
だけど、どう見ても矢坂くんに違いない。
「矢坂くーん! なにしてるの?」
通り道ってこともあって、後ろから声をかけるとビクリと肩を揺らして振り返った。
「あ、やっぱり矢坂くんだ!」
「矢坂、お前怪しすぎだろ」
私と律くんが現れることなんて予想外だったのか、目をまん丸にしてあたふたしている。



