「万が一の時があれば俺からも羽川に詰めてやってもいいし」


「詰める……」


玲来ちゃんから家柄を聞いたばかりなこともあって、矢坂くんが言うと震えそうになる。


「今日は用事があるから無理だけどな」


じゃあな〜とヒラヒラ手を振って、矢坂くんは震える私の前から立ち去った。


うん、こうして謝りに来てくれたし、悪い人じゃない……。

もしかしたら怖い一面をお持ちなのかもしれないけど、将来の玲来ちゃんの旦那様だし、大丈夫だろう。


さぁ、いよいよ私の決戦が開幕する!

省エネモードの律くんを起こすべく、私は教室のドアに手をかけた。