歩き出す俺の前に両手を広げて「はい!ここは通行止めでーす!」って大声をあげる。
そんな矢坂を下校途中の小学生が不思議そうに見てるから、俺は他人のフリをして歩き出した。
「おいコラぁ! 俺がただで帰すと思ってんのか?」
ドスのきいた声。
さすが裏社会の家系で育っただけあんじゃん。
そういうとこ、もっと菊池に見せればいいのに。
「誰が帰してやるって言った? あ?」
貫禄たっぷりに、俺の顔に自分の顔を近づけた矢坂は、
「帰りたきゃイケメン税払えや!」
……やっぱりこいつはただのバカだ。
矢坂は偉そうに腕組みまでしてる。
その威勢のよさも、すぐぶっ壊れるって知ってるんだけど。



