「よっしゃあああ! 追いついたぞ! 俺の勝ちだ!」
なんの勝負してたんだよ……。
走って引き返してったんじゃなかったわけ?
「ちょっと待っててくれ」
運転手に声をかけた矢坂が俺のそばまで走ってくる。
どう見ても矢坂ん家の車だ。
「ここまでして追いかけてくるって、なにが目的?」
「実は、大事な話なんだけどよ……いいか?」
ストーカーと盗撮のプロの矢坂が、いつになく深刻そうに切り出した。
眉を寄せた矢坂の表情が曇り出す。
それが余計ただ事じゃないって物語ってんだけど、菊池となんかあったか?
思いつくのはそれしかない。
「お前がそんな顔すんの珍しいんじゃない?」
「……ああ。すげぇ話しにくいことなんだよ。それでも、聞いてくれるか?」
「どうした?」



