「ねっ、律くん! あのセリフって、律くんのアレンジだったの?」


「それわたしも知りたい!」


律くんの席の周りに女子が集まり出した。


それは、私も気になる……。


「お願いお願い! 教えて!」


いつもの律くんならきっと何も答えない。


それか「さあ?」なんて言ってはぐらかすと思う。


わかっているのに、がやがやとうるさい中、私は耳を傾ける。


「アイツだから言いたくなっただけ」


それなのに、律くんは私の予想を遥かに越えてくる……。


「……アイツって、西宮さんだよね!?」


「あー、聞くんじゃなかったぁ。推しから惚気を聞くとかしんど……っ」


こんなに騒がしい中でも、律くんの声だけが鮮明に聞こえて……。