【完】無気力ですが、ベタ惚れ彼氏の溺愛方法に困ってます



「嘘じゃねぇよ! 俺、風呂に入ったら一番最初に足から洗うんだ! ホントなんだ!」


「わたしには脇からって言ったじゃない!」


ちなみに、これは街中で喧嘩をするカップルの役で、セリフの練習をしている……。


「ちょっと菊池さんに矢坂くん! もっと静かな声でお願い……!」


注意をされた二人は「そっちが気をつけてよ!」と罪を擦り付けあっていた……。


まもなく本番が始まる。

緊張していた私だったけど、二人のおかげで少しリラックス出来たかも……。


……と、その時。


「う、嘘ですよね!? いきなり降りるなんて!」


「本当だ。俺は嘘はつかないぞ?」


この声は、会長様……?

私は玲来ちゃんと顔を見合わせて、声が漏れる狭いステージ裏の隅に近寄った。