玲来ちゃんの肩に頭をくっつけると、視線の先には律くんがいて……。
窓の外を無気力な瞳で眺めていた。
この数日、律くんは机に突っ伏していることもないし、保健室で省エネをすることもない。
蒼ちゃん先生からは「シーツの素材が変わったからか?」なんて聞かれちゃったくらい。
律くんは、なんだか律くんらしくなかった。
「ほら、そろそろ行くわよ! 絶対あの東雲寧々花が演じる継母よりもいい舞台にするんだから!」
玲来ちゃんは東雲さんに闘志を燃やしていた。
あれ以来、東雲さんとは口をきいていない。
一度だけ、ひとりで廊下を歩く東雲さんを見かけた時、なんだか元気がないようにも見えた……。
けど今は、気持ちを切り替えて頑張らなきゃ。