「なに?」 「……律くんは、優しいよ。でも……ちゃんと口にしないと伝わらないことも、あるんだよ……?」 「だから言ってるよね、俺」 私は唇を噛んで、律くんを見上げた。 「ううん! 伝わらないことがあるなんてわかってないよ律くんは……っ、お母さんも前に言ってたもん!愛してるってお父さんがもう5年も言ってくれないから家出するって!」 「……」 「そうやって言葉にしなきゃ伝わらないことだってあるのに……もうっ、私は待ちぼうけしないから!」 私はカバンを掴んで、勢いよく教室を飛び出した。