【完】無気力ですが、ベタ惚れ彼氏の溺愛方法に困ってます



「冬夜(とうや)。いきなり登場しないでよー」


口を大きく開けて見上げれば、ケラケラ笑う黒髪男子が立っている。


「彼氏が顔見に来てんのにその態度? 冷たいねぇ」


「顔見に来てるとか言ってるけど同じクラスじゃん……」


「そういう塩顔も好きだわ、俺」


「……あっそう」


私達と同じクラスメイトであり、玲来ちゃんの彼氏である矢坂 冬夜(やさか とうや)くん。


口調と同様に黒髪ゆるゆるパーマがよく似合っていて、大人びている。


矢坂くんって、私のような一般生徒とはかけ離れたオーラみたいなものを感じるんだよね。


怖いもの知らずって感じ。

だけど、それを玲来ちゃんに尋ねたら「芽衣、知らなくていいから」と一蹴されてしまったわけで。