「へぇ? そのクッキーが人質だって?」
「ううっ……本気で言ってるわけじゃないと思うけど……」
「アイツとは関わるつもりないから」
「うん! わかってるよ! 律くん、ごめんね……っ。初めて作ったけど、次はもっと上手く作ってリベンジするからね!」
「は?」
「……だ、だからまた今度焼いて渡すからね!ウサギの形にしたんだけど、何枚か焦げちゃったりしたから……」
バレンタインには渡せなかったけど、次はもっと美味しく作らなきゃ!
すると律くんは「初めてとか聞きたくなかった」と、髪をくしゃりと掴んで項垂れている。
「律くん、なんて言ったの?」
「別に。ほんと振り回されてんなって思っただけ」



