* * *


すっかり陽が落ちた住宅街。

今、私は律くんの自宅の前に立っている。

手には清涼水とゼリーを買った袋をぶらさげて。


「よし……」


一度だけ……と心に決めてチャイムを鳴らした。

少し待ってみたけれど出てくる気配はない。

やっぱり、寝てるよね……。

帰ろうと踵を返したその時、ガチャッと玄関のドアが開いた。


「……り、律く……っ、」


ビックリした。

いきなりドアが開くんだもん。


「……うわ。ほんとに来た」


「えっ?」


第一声がこれである……。

部屋着姿で出てきた律くんはマスクをしていて、熱のせいかほんのりと赤い顔でこちらをじっと見ている。