【完】無気力ですが、ベタ惚れ彼氏の溺愛方法に困ってます



チョコチップクッキーを持ってきたことがバレたら。


「何をしているんだ? 帰り道なら構わないが、不要な寄り道は厳重注意の対象だぞ」


「すみません。考えごとをしていて」


「悩みがあるのか? ずいぶん深刻そうな顔をしてるみたいだが」


ベンチにそっと腰掛けた会長様が私を覗き込んだ。


「……深刻です。答えが見つかりません」


「俺でよければ話を聞く。どうした?」


会長様に聞いてもらってもいいのかな。

私は少し躊躇ったけれど、意を決して口を開いた。


「……実は、律くんが風邪でお休みなんです」


「……」


反応がない。

チラリと目を上げれば、回答に困っている様子だった。