「好き」って言われたわけじゃない。

私が聞きたいのは「好き」の二文字。

だから、ベタ惚れなんて言葉で喜ぶわけが……


「ベタ惚れだって言ったんだけど聞こえたの?」


「……!?」


まるで私の心の中を見透かしたみたいにリピートされたら、私はもう……


「り、り、律くんのバカぁぁぁ!!」


嬉しさが爆発してどうしていいかわからない私はイノシシの如く走り出していた。



「あーあ。またどっか行っちゃった」


いくら嬉しいからって彼氏を置いて暴走する彼女なんてきっと私くらいだ。


「だから言いたくなかったのに」


そんなことを律くんが言っているなんて知るはずもない私は、




「そんなとこも好きだけどね」



──次そこは、好きって言わせたい。