「走るのはダメだから」
「っ、し、しないよ……」
なんでもお見通しな律くんの瞳が、どこか嬉しそうに見える。
「真っ赤」
「……んっ!」
ムギュっと私の鼻を摘んだ律くんは、
「ホントに風邪引く前に帰るよ」
「……うん!」
私の手を繋いでゆっくりと歩き出した。
律くんの優しい気持ちに、モヤモヤしていた心は晴れていく。
バレンタインは、私の精一杯の気持ちを込めてチョコを作ろう。
「あ、でもね律くん! これからは我慢させないようにするから、我慢してることはなんでも言ってね!」
「……言えるか。バカ」
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