* * * ──その日の帰り道。 「さっきから気になってたけど、なにそれ……」 「へっ?」 並んで歩いていると、律くんが立ち止まった。 口もとまでマフラーを巻いている律くんの目は、私の手元に向いている。 「なにって、ウサギだよ?」 「……どう見ても豚だろ」 「ううん! 会長様が私の机に置いてった物だけど、これはウサギなの!」 「……あっそ」 私は思った。 バレンタインのことを言うなら今かも……って。 「律くん……っ、」 「ん」 振り向いた律くんが「どした」と私の前まで来る。