「だからいつも目が離せない」


顔を上げた律くんが真っ直ぐに私を見ている。


「バス停で泣いてるお前見つけた時から」


「……っ、」


反則すぎる律くんの言葉に、今度は涙が出そうになった。

律くんはどこまでもズルい。

出会ったあの日のことをちゃんと覚えていてくれて、それを今言うんだもん。

不意打ちなんてレベルじゃない……。


ぐすっと鼻を啜った私は、


「私も、いつもいつも律くんのこと見てて、ずっとずっとこの先も見てるからね!」


素直な気持ちを笑顔で伝えた。


「芽衣は俺のこと見なくていいから」


「なっ!?」


「前見て歩いて? また転ぶでしょ」


転ばないよ!と反論しようとした私の手を繋いで、律くんはゆっくりと歩き出したのだった。