「あんまり連れ回さないでくださいね」
先に口火を切ったのは律くんだった。
「もちろんだ」
短く答える会長様だったけど、私は驚きのあまり息さえすることを忘れていた。
だって、律くんは他人のフリをするって言っていたのに……。
「風邪引かせたくないから」
淡々とした口調でもそれが嬉しくて、キュッと胸が小さく音を鳴らした。
「俺の個人的な感想だが」
……と、会長様が僅かに私に顔を寄せた。
「君は振り回したくないと言っていたけど、彼は西宮のことをとても大切に思っているね」
コソッと律くんに聞こえないように耳打ちしてきた。
「え!?」
私が大切……!?
「細心の注意を払うよ。風邪なんて引かせたら大変だ。卒業まで恨まれるだろうから」



