「とにかく、私は律くんを疲れさせたくないわけで……」


「俺前も言ったよね?」


「前……?」


キョトンとした私が首を傾げる。

はぁーっと溜め息をつきながら、私の流れる髪を耳にかけるように触れてくる。


「り、律くん……っ、」


不意打ちをくらった私は一気にドキドキの音が激しくなって……。

動けない私を下から覗き込む律くんは、



「可愛いお前のことばっかり考えて疲れるって」


「っ、」


言ったよね、と……。

周囲の目なんて気にもせずに、気だるげな声でそう言った。


さらに律くんは「ホント言わなきゃわかんないね」と呆れ顔をしている。