今日こそはって意気込んでいたはずだったのに、律くんが落とす甘いキスに溺れていく。


一体いつになったら「好き」をくれるんだろ。


ギュッと抱きしめられて、「芽衣」と名前を呼ばれる。


……律くんはズルい。


こうやって、もっともっと好きにさせるから。


もしも……と、私は想像する。

漫画みたいにライバル的な人物が現れたりでもしたら、律くんはもっと欲張りになってくれるのかな?


そんなことを考えるのはよくないとわかっているけれど。



──まさか、そんな私の想像が現実に起ころうとしているとは、この時は知る由もなかったのだ。