いつも無気力で気だるげな瞳の律くんだけれど、今見せた貴重な笑顔に堪らなく嬉しさが募っていく。
「言い方はお父さんの教えで……」
机にマドレーヌの箱を置いた律くんが、私の隣にすとんっと腰を下ろした。
ふわりと律くんのシャンプーの香りがする。
「芽衣の両親も甘いもの好き?」
「うん! 特に和菓子が大好きなんだ!」
「ふーん。じゃあ今度俺が挨拶に行く時持ってくよ」
「い、いいの? お母さんもお父さんも、すごく喜……ぶ……」
えっ?
挨拶に行く時……?
その意味を考えながら律くんの横顔に釘付けになる。
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