「──芽衣が足んないから」
「っ、」
甘い声が鼓膜を揺るがす。
けど、ハッとした時にはもう遅くて。
後ろから回された律くんの手は、私の腰をしっかりと抑えていた。
「律くんってば、どこ触ってるの……!?」
「暴れたら落ちちゃうよ」
どう動いたのかもわかんないけど、ベットの上で律くんの腕の中にいるなんて、冷静でいられるわけがないよ。
強引に抱き寄せられたせいか、ベットがギシッと音をたてる。
「補給しないと帰れない」
わがままみたいなことを言って、その整った顔を近づけてくる。
一瞬にして縮まった距離。
律くんの綺麗な前髪がサラリと揺れた。
まさかの不意打ち……。
嘘でしょ……?
キラキラした展開が今起きるなんて。



