こんな道端でダメ……っ、と。

手を突っぱねたけれど、その手はあっさり拘束されてしまって……。


「ダメ。もっと」


「んんっ……」


「ちゃんと俺の目見て? あと息継ぎもしなよ」


「……!?」


唇が離されて、もうどこを見ていいかわからなくて、心臓がドキドキうるさくて。


そんな私を見た律くんが、濃紺な空の下でクスッと笑う気配がした。


律くんに、私はもうお手上げだ……。

けど、そのままの私でいいって律くんが言ってくれるなら、今の私のままでいいのかもしれない。


「あ。先に言っとくけど、次会長から睨まれるようなことがあったそん時は他人のフリするから」


「えぇっ!?」


「あんなのと関わることほど疲れることはないだろ」


「……そっ、そんなぁ!」


明日からは、今までよりも身を引き締めて生活しないといけないみたいです。