「だって……何年も先の未来のことだから……それに未来の私はあんまり大人っぽくないかもしれな……」


その瞬間、グイッと腕を掴まれて身体が傾いていく。

視界が揺れて、ギュッと律くんの胸の中に抱き寄せられていた。


「──何年先でも俺はお前がいい」


「っ、」


未来を照らしてくれるような言葉に、律くんの優しい声に、たちまち私の視界は滲んでいく。


「それに芽衣はもっと欲張りでいいよ。我慢しなくていい。なに言ったってしてもいい」


頭上から降ってくる律くんの言葉に、私は静かに頷いた。


こうやって抱きしめられると温かくて安心する。