それから20分も経ってなかったと思う。
背後で微かに布団が擦れる音が聞こえた。
「あ、起きた……?」
「ん」
背中を向けていた私は、教科書から律くんへと視線を動かした。
うん、寝起きの声も好き……。
「なにしてたの」
「え、と……これ読んでて」
目を擦りながら薄目で見てくる。
「待たせた?」
「……全然! 少しも待ってないよ!」
律くんが起きて嬉しいのに、私はドキドキというかヒヤヒヤもしてる。
だって、寝起きの律くんはズルいってことを知ってるから。
反則なんて言葉じゃ済まない。
今までも何度心臓止まりかけたかわかんないもん。



