「……西宮、あたしはそこまでハッキリ言えとは言ってないけどさ」


「えぇっ、蒼ちゃん先生ーーそんなぁ!!」


これは雑談ではなく立派な悩み相談である。


私が抱える悩みを蒼ちゃん先生に打ち明けている真っ最中。


「まあ、異性として意識することは自然なことさ。んで、西宮がそう思う理由ってのはなんなの?」


「実は……」


「好き」って言葉を聞けないまま、私に新たな悩みが増えた。

空き教室での出来事から一週間。

律くんとは一度も手も繋いでいない。

それどころか、私と距離を取っているような気さえする。

帰り道、私がそっと律くんに寄り添おうとすれば無言で広がる距離……。

……辛い。