テスト終了後の放課後。



「あの……俺、何かしました……?」

「いやいや、大したことじゃなくてね」



彼を職員室に呼び出し、カーテンが閉まっているのを確認してから保健室に入れた。


めちゃめちゃビクビクしてる。
そりゃあ、いきなり呼び出されたらびっくりするよね。

よし、作戦開始!



「水沢くん……猫は好き?」

「は、はい……?」



予想外の質問に戸惑っている様子。

それもそうだよね。

呼び出しておいて「猫は好きか」って普通聞かないよね。



「好きですよ。種類によりますけど……」



戸惑いつつもちゃんと答えてくれた。
ホッ。好きなら良かった。



「良かった。実はね、俺の仲良しな猫が最近元気なくって……」

「ね、猫と仲良しなんですか?」

「そうそう。よく俺のところに遊びに来てるの。
それで、水沢くんに会ったら、元気出るかもしれないと思って連れて来たんだ」

「えっ……?」



フフフ、嘘だろって顔してる。
本当に猫を連れて来たと思ったんだろう。



「ロシアンブルーに似てる女の子だよ。おいで~」

「ロシアンブルー⁉」



驚いている彼をよそに、ベッドのカーテンの裏に隠れている彼女を呼び出した。