──ガラガラガラッ。



「失礼します! 海くん、絆創膏ちょうだい!」

「は~い。一応先生ってつけてね」

「あ、ごめんね先生!」



すると、彼の話を遮るように、ドアが大きな音を立てて開いた。

すると、いきなり冬川くんが席を立ち、バッグを持ってドアのほうへ。



「あれ、もう帰るの? まだ相談の途中じゃ……」

「また今度来ます。それより、ケガ人の手当てをしてあげてください」

「そう……? わかった」



気を遣わせちゃったかな。
まぁ、また今度聞けばいっか。



「先生、今のイケメン誰?」

「ん? 1年生の冬川くんだよ」

「下の名前は?」



手当てをしていると、彼女が目をキラキラさせて話しかけてきた。

グイグイ来るなぁ……。冷静な冬川くんと正反対だ。



「ちょっと北松さん……もしかして狙ってる?」

「そ、そういうわけじゃないですよ! 昔好きだった子に似てたんです」

「へぇ、どんな子だったの?」

「えくぼが印象的な優しい男の子で……私、その子のおかげで明るい性格になったんです。それで私の人生も大きく変わって……。また会えたら、ありがとうって言いたいなぁ」



えへへと、ニコニコする北松さん。

人生か……彼女にとって彼は特別な人なんだな。



「ありがとう先生! バイバイ!」



手当てを終えると、北松さんは満面の笑みで出て行った。

あ、彼の下の名前言ってなかった。

また今度来た時に言えばいっか。