「冬川くんは、その子のことは、まだ好きなの?」

「……わからないんです。嫌いになったわけじゃないけど混乱してて……」



まぁ……大和撫子がライオンに変わってたのなら、そりゃ混乱するのも無理はない。

彼は再び溜め息をついて、机に突っ伏した。



「僕……昔から変わり者って言われてて、あまり友達もいなかったんです。でも、彼女だけは温かく受け入れてくれて……」



「初恋でした」と顔を上げてポツリ。

せ、切ない……。



「俺の目からすると全然変わり者には見えないけど……」

「そりゃそうですよ、隠してますから。でも最近は、学校でも趣味を楽しめるようになりました」

「何の趣味なの?」



尋ねると、彼はドヤ顔で上を指差して。



「宇宙です」

「う、宇宙……?」

「はい。最近図書室で宇宙の本読んでます」



満面の笑みで返事をした。

宇宙……確かに変わった趣味かも……。



「望遠鏡で月や星を観察したり、流星群を見るのはもちろん、星座の由来を調べたり、宇宙の大きさはどれくらいなのかとか……」

「わかった、ありがとう」



ダメだ、後半はもうついていけない。



「その……冬川くんはオカルト系が好きなの? 占いとかさ」

「占いはあまり興味ないです」

「そうなんだ。星座占いってあるけど……それは?」