順番に行われていくファーストバイト。


人目も気にせず、ステージのど真ん中で「あーん」とケーキを食べさせあっている本物のカップルたち。


そうこうしているうちに、とうとうわたしたちの番がやってきてしまった。


神風くんのかっこよさに目が眩んでいる女の子たちと、複雑そうに見ている女の子たち。



あぁ、どうしよう。

どうやったらいいんだっけ?



いろんなプレッシャーと緊張のし過ぎで頭の中が真っ白になる。


生徒会の人から渡されたスプーン。


これでケーキを救って食べさせてあげればいいんだろうけど……



無理、無理だよ!

わたしにはできない。



「ほら、先に食べさせてあげる」



小声で神風くんはそう言って、スプーンで大きく救ったケーキをわたしに向ける。



「こんなっ、口に入らない……」


「ほーらっ」



真っ直ぐ口に向かってくるケーキを避けるわけには行かず、大きく口を開けてそのケーキを口に入れる。


うん、甘くて美味しい。


これはちゃんとしたお菓子屋さんのケーキだ。


次はわたしの番。



「神風くん……」


「俺はこっちを貰う」


「……へっ」