「もしもし?」
「あっ、澪ちゃん?」
「はい、そうです」
相変わらず明るい舞さん。
電話越しにザワザワと雑音が聞こえてくる。
随分と賑やかで、音楽が鳴っていて……あれ、もしかして舞さん。
「舞さんって、今どこに?」
「ちょうど仕事が休みだったから学祭遊びに来ちゃったのー」
やっぱり。
教室にいた時に外から聞こえてきた音楽と同じだったから、そんな気がしたんだ。
「今澪ちゃんはどこにいるの?」
「えーっと、神風くんと一緒に北階段の下にいます」
「っ、おい!」
わたしが正直にそう話すと、神風くんは頭を抱えてしゃがみ込んだ。
「へぇ、唯斗も一緒なのね! それはちょうど良かった。 今すぐ行くからそのまま待っててね!」
舞さんはそう言って、わたしが理由を聞く前に電話を切ってしまった。
そのまま待っててって、舞さんも一緒にまわろうとしてるのかな?
「……この、バカ澪」
「ば、バカって」
なんてこと言うんだ、神風くんは。
そんなにわたし、悪いことした?
舞さんの質問に答えただけでバカ呼ばわりは納得がいかない。
「ちょっとどこに行く気?」
舞さんに待っててと言われたのに、立ち上がってどこかへ行こうとする神風くん。



